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高野山 霊宝館(れいほうかん)

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収蔵品紹介

仏に関する基礎知識:摩利支天(まりしてん)

摩利支は「陽炎(かげろう)」「威光」と漢訳され、摩利支天は陽炎が神格化したほとけ、あるいは捉えたり見ることができないことを陽炎に喩えられてこの名があるとされます。梵天の子、あるいは日天の妃ともされ、摩利支天を念ずれば他人から見られ知られることなく、捉え害されることなく、だまし罰せられることなく、自らの望むところを成就できるとされます。中世以降は特に武士の間で信仰され、戦場や武術の試合などの際に必勝を祈願しました。

その姿はさまざまで、天扇を持つ二臂像、弓・無憂樹(むゆうじゅ)・線・金剛杵・針・箭(矢)を持ち猪に乗る三面六臂像、さらに羂索・鉤を持つ三面八臂像などがあります。針と線を持つほとけは珍しく、これは悪人の口や眼を縫うことを意味します。

また、摩利支天は天女の形につくることが経軌に説かれていますが、日本では天台宗の安然(あんねん・?〜884年)によって男神として説かれて以来、男神像もつくられるようになりました。

近世には武士たちの信仰を背景に、猪に乗った摩利支天の画像や版画は多くみられますが、古い造像例は少なく、これは「摩利支天経」に半寸あるいは一寸、二寸以下(一寸は約3cm)につくるよう記され、肌身離さず持ち、他人に持っていることを知られてはならないとされることも影響していると思われます。この非常に小さな像は見られず捉えられない摩利支天の性格が反映されているのでしょう。

摩利支天画像  摩利支天画像 

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