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高野山 霊宝館(れいほうかん)

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収蔵品紹介

仏に関する基礎知識:歓喜天(かんぎてん)

胎蔵曼荼羅 毘那夜迦(勧喜天)像歓喜天は梵名(ぼんめい)をナンデイケーシユヴァラといい、歓喜自在天・難提自在天・大聖歓喜天と訳されています。一般には、聖天(しょうてん)と呼ばれる略名で呼ばれることが多く、諸願をかなえる力も強いけれど、反面、約束を守らなかったりすると、大変恐ろしいといわれている天部の尊です。

歓喜天はもともとインド古代神話におけるガナパチ神(しん)であるといわれ、ガナパチはヒンドゥ教の三神の一つであるシヴァ神(しん)とその妃のパールヴァティの間に生まれた子で、父シヴァ神に従う大自在天軍を統帥する大将でもあったといわれています。

歓喜天の信仰は、災いから避けのがれることを祈ることがインドでは盛んで、物事を始める前に事の円満成就を歓喜天に祈りました。仏教に歓喜天がとり入れられると、仏法(ぶっぽう)を擁護し、衆生に利益を施して諸事の願いを成就させる善神として信仰されるようになりました。特に、密教において歓喜天信仰がさかんに重視されるようになり、造像もさかんとなりました。

歓喜天の姿は、頭部が象の形であらわされ、いわゆる象頭(ぞうとう)人身の姿をしています。その姿には大きく分けて単身像のものと、双身歓喜天として二尊(にそん)が抱きあう姿のものがあります。

双身勧喜天像単身像には、手の数が二臂、四臂、六臂、八臂、十二臂の五種類があります。代表的なものとしては、胎蔵曼荼羅最外院の北方に配されている歓喜天(毘那夜迦)で、左手に大根を持ち、右手に斧の様な法具を持って座っています。

次に双身像ですが、種々の異形像がみられますが、その代表的な姿を紹介しますと、象頭人身の二天が互いに相手の右肩に面を載せて相抱き正立する姿を示すもので、女天は頭に天華冠(てんかかん)を付けて男天(だんてん)との区別がなされています。この女天は観音の化身と説かれるのが一般的で、毘那夜迦(びなやか)の王である歓喜王が衆生に害を及ぼそうとした時、観音菩薩が大慈悲心をおこして毘那夜迦(びなやか)婦女の身となり、歓喜王の欲望をおこさせ、毘那夜迦婦女の身体に触れるためには、未来の世が尽きるまで仏法を守護すること、修行者達を守護すること、今後衆生に対して悪事を働かないこと等の約束を取り付けたうえで抱きあったとの物語が伝えられています。


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