高野山霊宝館【高野山と文化財：高野山について】

根本大塔の写真高野山は和歌山県の東北部に位置し、高野町の中心地域となります。町の南東部は奈良県に隣接し、南西部にかつらぎ町・花園村、北部に橋本市・九度山町が隣接しています。経緯度は、東経135度37分、北緯34度14分と公表されています。

高野山といっても「高野山」という山があるのではなくて、弁天岳（984.5メートル）、陣ヶ峰（1105.8メートル）、楊柳山（1008.5メートル）、摩尼山（1004.0メートル）などの標高千メートル級の山々が連なる山域の総称となります。

こうした山々に囲まれた東西6キロメートル、南北3キロメートル、周囲15キロメートルに及ぶ標高約800メートル前後の盆地に、金剛峯寺を中心として形成する寺域を始め町家などが集中しています。

ちなみに高野町の町域自体は、昭和33年（1958年）6月1日の町村合併促進法に基づいて富貴村と合併したことにより、東西24キロ、南北12キロ、総面積137.08平方キロメートルとなっています。

高野山の周囲の山々である外輪山を、古来より「外八葉」と呼んでいます。八葉とは蓮華の花びらを象徴してこう呼んでいます。また内輪山を内八葉と呼び、外八葉と合わせて１６葉の山々を金剛界曼荼羅の十六大菩薩に相当させ、蓮の花を象徴する曼荼羅の中心に高野山があると説いています。

この外八葉とは一説に、金剛峯・小塔峯・山王峯・遍照峯・転軸山・楊柳山・摩尼山・姑射山であるとされ、内八葉は、壇上伽藍を取り囲むように剣崎峯・南虎峯・宝珠峯・薬師山・山王峯・神応岳・小塔峯・勝蓮花峯となっています（高野春秋）。

高野山は、弘仁7年（816年）に開創されて以来、長い歴史の中で法灯を護持してきた真言密教の一大道場です。山上の平地には、現在では117の寺院があり、宿泊のできる宿坊寺院は53ヶ寺を数えることができます。

高野山の歴史の中で、山内寺院の大半を焼失したと伝える火災は四度にも及び、文化財にとっても大打撃であったことは想像に難くありません。明治期には廃仏毀釈や、それに追い討ちをかける大火により、文化財が焼失、散逸したことはまことに残念であるといわざるをえません。

これらの難をのがれた文化財のみが、今日まで伝えられているわけですが、それでも山内には、国宝23件、重要文化財188件、和歌山県指定文化財40件を数え、今後もなお指定品となる可能性の文化財が数多く伝えられています。まさしく高野山は文化財の宝庫、宗教芸術の殿堂と呼ぶに相応しいといえるものです。

高野山指定文化財総数
種別	区分	国宝	重文	登録文化財	県指定	町指定	重美	合計
美術工芸品	絵画	8	49		12		3	72
	彫刻	2	53		2			57
	工芸	1	31		10			42
	書跡	10	34		3		1	48
	歴史資料	0	2		0			2
	考古資料	0	2		1			3
建造物	建造物	2	11	6	5			24
記念物	史跡		2		5	1		8
	名勝		1		1			2
	天然記念物			5	3			8
総合計		23	185	11	42	1	4	266

重文：国指定重要文化財　　県指定：和歌山県指定文化財　　重美：重要美術品
（2019. 2月現在）